糖尿病は、ほとんど自覚症状のない病気です。症状がないなら、単に血糖が高いだけの病気と考えることもできます。しかし一方糖尿病により失明する人は年間3,000人、また糖尿病により人工透析を必要にする人は新たに年間1万6千人となっています。これは、血糖が高い状態が何年間も続くことより、血管にさまざまな変化が起きて合併症がでてくるからです。糖尿病の治療は、まさに合併症がでないように、病気をコントロールすることにあります。
このような糖尿病は、実は非常に増加しています。2012年国民健康・栄養調査結果によると、糖尿病が強く疑われる人は950万人で過去最多になりました。世界全体でも3億8,200万人であり、世界全体から見ても急増している病気です。戦前では糖尿病の患者さんは、ほとんどいなかったといわれていますから、この50年間で最も増加した病気といえるかと思います。
では、どうすれば糖尿病は診断できるのでしょう? じつは、これは非常に簡単です。血液さえとれば、ほぼ診断が可能です。 具体的には朝の空腹時の血糖が 126mg/dlをこえているとか、食後でも200mg/dlを超えている場合は糖尿病の可能性が非常に高いといえます。したがって、病院に来て、採血を行うことで糖尿病であるかどうかは比較的簡単にわかります。
糖尿病になったら、食事も制限して、運動もして、薬も飲んで....など考えていませんか? 糖尿病といってもさまざまです。軽い糖尿病では、これ以上太らないようにするだけでいい場合もあれば、薬も不要で生活指導だけで十分な患者さん、もちろんインスリンも必要なひともいますが、重要なことは個々に合わせた治療目標、計画を立て実践することが大切です。
当院では、糖尿病治療の専門家がチームを組んで、糖尿病教室、栄養指導、フットケア、血糖自己測定のグラフ化、血管外科、眼科などの連携しながら、合併症のない糖尿病をめざし診療を行っています。
内科 五十嵐 毅 |