海道中央労災病院における心不全・心臓リハビリテーションセンターの役割

当院では、2018年10月に心不全・心臓リハビリテーションセンターを立ち上げました。本センターには大きく2つの役割があります。

心不全に対する多職種連携、地域連携

高齢化に伴い心不全患者さんは急増しています。心不全診療は生涯にわたって治療を継続する必要があり、細かな内服調整や、急に病状が悪化した際の対処など、地元の南空知地域で安心して治療を行える医療環境を作る必要があります。当院でも入院患者に占める心不全の割合が急増しており、患者さんが入院中および退院後も安心して健康的な日常生活を送ることができるように、更なる診療体制の向上を目指して当センターを立ち上げました。

薬物治療や心臓リハビリテーション、狭心症や心筋梗塞に対するカテーテル手術、徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療など、標準的な循環器診療は当院で全て可能です。当院は心臓外科を標榜しておらず、心臓の手術や、心臓外科医を必要とする特殊なカテーテル治療は行うことができません。当院では北海道大学病院などの心臓外科手術が可能な病院と連携しています。冠動脈バイパス術などの開心術、不整脈に対するカテーテルアブレーション、弁膜症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVI)・MitraClip治療、重症心不全に対する心臓移植など、患者さん毎に必要な手術前検査を行い、適切な病院に紹介しています。当科から紹介することにより、リハビリや内服調整、定期的な心機能評価など手術後も当院で継続的に安心して治療を受けていただくことが可能です。

包括的心臓リハビリテーションプログラム

下記に述べる通りに、心臓リハビリテーションは心臓病患者さんの生命予後を改善することがわかってきており、近年全国的に心臓リハビリに積極的に取り組み始めていますが、まだ十分に普及していないのが現状です。岩見沢市を含む南空知地域でもこれまで本格的な心臓リハビリテーションを実施することができませんでした。

心臓リハビリテーションは週に1回~3回程度、外来に継続的に通院していただく必要があり、札幌など遠方の病院で行うことは現実的ではなく、地元で実施できる環境を整えることが急務でした。北海道大学病院で心不全・心臓リハビリテーションを専攻していた松本医師が2018年4月に当院に赴任したことをきっかけにリハビリセンター開設の準備を開始しました。

2018年8月には日本を代表する心臓リハビリテーション実施施設である、群馬県立心臓血管センターに施設見学させていただきました。心臓リハビリテーションの第一人者である安達 仁先生に御指導いただき、学んだことを基にして2018年10月に当院で心不全・心臓リハビリテーションセンターを立ち上げました。

心臓リハビリテーションとは、理学療法士による「運動療法」を中心として、管理栄養士による「食事療法」や、医師や看護師、薬剤師などの講義によって病気や薬、生活上の注意点を知ることなどの「知識の習得」を行うことです。これらの様々な取り組みにより、心臓病の患者さんが快適な社会生活や家庭生活を送ることができ、心臓病の悪化を予防して、元気に長生きできることを目標とする総合プログラムです。

当院ではスタッフが一丸となって、
患者さんの心臓リハビリテーションを
支援します!

当院の心臓リハビリテーション