独立行政法人労働者健康安全機構  北海道中央労災病院

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  • 北海道岩見沢市4条東16丁目5番地

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各部門の紹介

じん肺内科

じん肺内科外来

外来(予約制):  火曜日から木曜日 午後1時~3時
じん肺および石綿関連疾患に対する外来診療や検診を行っています。
受診予約:  病歴室(内線446,447)へ事前に電話予約の上受診してください。
他の医療機関からの紹介は地域医療連携室(内線497)にて受け付けております。

特色

当院は昭和30年に、当時多発した炭鉱労働者のじん肺の予防と治療のためのセンター病院として開設され、当院の特色となる科の一つです。当院は現在でもじん肺症の診療を日本で最も多く手がけている病院でもあります。また当院はアスベスト疾患ブロックセンターにも認定され、石綿関連疾患に対する健診や診療にも対応しています。

じん肺診療の現況

じん肺検診の充実、診断能力の向上により肺がん患者の早期発見(過去10年のじん肺に発症した全肺癌中、早期肺癌が45%を占める)や、治療レベルの向上により、当院におけるじん肺患者の平均寿命は、本邦の成人男性の平均寿命と変わらなくなっています。


写真―1 じん肺の胸部X線写真: 左は粒状影が多数みられる症例。右は大陰影が形成され労災認定されている症例。

じん肺研究の取り組み

当院には職業性呼吸器疾患研究センターが併設されており、じん肺や石綿関連疾患に関する臨床研修を行っています。現在は労働者健康安全機構が実施している第3期労災疾病等医学研究「じん肺分野」において研究の中核病院として研究を推進しています。
現在に至るまで、「じん肺図譜」や「じん肺論文集」を出版するなど、我が国じん肺の診療・研究に大きく貢献してきました。最近では、産業医のじん肺健康診断に役立つマニュアル「よくわかるじん肺健康診断」を上梓しました。現在のマニュアルおよび研究成果の普及活動を行っています。

将来の展望

現在粉じん職場における環境改善は著しく進歩し、今後はじん肺患者の新規発症が大幅に抑制されることが期待されます。しかしながら、一度肺内に吸入され沈着した粉じんは、肺から排除されないため、粉じん職場を離れても引き続きじん肺病変が進展することがおこります。そのため炭坑が閉鎖した現在においてもそのために新規にじん肺を発症する方や、じん肺が進行する方をみかけます。今しばらくは、じん肺が職業性肺疾患の重要な位置を占め続けるものと思われます。けい肺や炭坑夫肺などのじん肺のほか、近年では超硬合金肺やベリリウム肺、液晶ディスプレイに使用されるインジウムによる肺障害など新しい素材による肺障害も報告されています。その意味でも、じん肺は決して過去の病気ではなく、これからも注目しなければならない職業性肺疾患といえましょう。

さらに、粉じん作業従事者が平成13年を底としてその後も増え続け、平成28年度現在では約52万人に達しています。粉じん職場では、じん肺健康診断が必須です。そのため、じん肺診療のできる産業医育成が大切であり、そのためにも、じん肺診断技術を伝達し普及する活動が今後ますます必要となると考えます。

じん肺は発展途上国においても、大きな問題となっております。平成22年から当院の木村名誉院長を中心に、JICAの支援のもとにじん肺に関する知見を中国やモンゴルで講演し、写真読影の技術も指導してきました。発展途上国においては石炭の掘削が増加する中、今後も我が国で蓄積されたじん肺診療の治験が果たす役割や貢献は大きいと思われます。

労災疾病等の医学研究

「じん肺」分野の研究

 第1期では「画像でみる今日のじん肺症例集」、「経時サブトラクション法」「じん肺におけるFDG,MET-PETの研究」「胸膜プラークの胸壁3D表示」などを出版し、一般医家向けに研究成果の普及をつとめてきました。また、第2期として、じん肺に合併する肺がんの診断法に関する研究、さらにはじん肺管理4患者の病態に関する研究などを報告してきました。
 現在は第3期として、じん肺健康診断におけるマニュアルとして「よくわかるじん肺健康診断」を、また診断に混乱が見られる続発性気管支炎の診断の一助として「じん肺の合併症 続発性気管支炎・続発性気管支拡張症の診断・治療と症例」を上梓しました。さらに、シリカばく露と好中球細胞質抗体いわゆるANCA関連血管炎と関連があるのかどうかを調べる目的で、多施設にてじん肺健診を受けている患者とじん肺以外の患者でANCA陽性率を検討しました。また、後方視的研究として全国の労災病院の退院時サマリーを利用し、じん肺患者でANCA関連腎疾患・血管炎で入院した症例の割合とじん肺の既往がない患者でのANCA関連腎疾患・血管炎の割合を10年間で調べて報告しています。以下にその一部を紹介します。

1. 「よくわかるじん肺健康診断」 

じん肺法のバイブルである1978年に出版された労働省安全衛生部衛生課編「じん肺診査ハンドブック」が1987年以降絶版で、じん肺診療に従事する医家からその後のじん肺の認定基準をいれた改訂版が待ち望まれていました。今回の斑のメンバーで執筆し、内容に統一性をもたせ、重複を少なくして、実際に健康診断書を記入する際に役立つように作成しました。

産業医学振興財団 平成29年5月1日発行 定価1,800円+税

 

2. 「じん肺の合併症 続発性気管支炎・続発性気管支拡張症の診断・治療と症例」

じん肺法における続発性気管支炎は、その定義が慢性気管支炎と類似していることから誤って診断する事例が少なくありません。そこで、研究班が回収した実例をもとにハンドブックの記載以上に臨床に基づいて詳説した冊子です。じん肺診療に携わる方にぜひ参考にしていただきたいと思います。

労働者健康安全機構 続発性気管支援の研究班編 平成29年5月発行

 

3. 「じん肺におけるMPO-ANCA、PR3-ANCA陽性率の検討ー多施設横断的研究」

   日本職業災害学会誌 投稿中


4.「病職歴データベースによるじん肺患者におけるANCA(好中球細胞室抗体)
      関連血管炎・腎疾患発症頻度の検討」

       日本職業災害学会誌 投稿中

発表論文

1) 

 

じん肺診療における経時サブトラクション法の有用性について
-北海道中央労災病院における検討-
中野郁夫、大塚義紀、五十嵐毅ら.日職災医誌60:176-181,2012.
2)  北海道中央労災病院におけるじん肺合併症の発生状況について
中野郁夫、大塚義紀、五十嵐毅ら、日職災医誌 60:216-221,2012.
3)  じん肺症における高感度CRPの検討
五十嵐 毅、後藤 慶、二川原 真治ら, 日職災医誌 59:284-287,2011.
4)  発展途上国におけるじん肺とアスベスト関連疾患-モンゴルでの『じん肺とアスベスト関連疾患のワークショップ』の経験から
木村清延、大塚義紀、清水信義、岸本卓巳ら、産業医学ジャーナル 34:63-66,2011
5)   アジアにおけるじん肺、アスベスト関連疾患の診断と治療を確立するために
関原久彦、清水信義、Vanya Delgermaa、木村清延ら、2011.3
6)  新版「じん肺標準エックス線写真集」について
木村清延 産業医学ジャーナル 35:95-96,2012
7)  超硬合金肺の病理像の特徴
岡本賢三 日本胸部臨床 70:1238-1248,2011
8)  新たな画像診断法 経時サブトラクション法 症例選集-じん肺診療の経験を中心に-
木村清延、中野郁夫、宇佐美郁治ら、2012,3

 

 

労災「粉じん分野」研究者一覧

主任研究者 北海道中央労災病院 副院長 大塚 義紀
分担研究者 旭労災病院 副院長 宇佐美 郁治
岡山労災病院 副院長 岸本 卓巳
神戸労災病院 呼吸器内科 坂本 浩一
富山労災病院 アスべスト疾患センター長 水橋 啓一
北海道中央労災病院 名誉院長 木村 清延
共同研究者 旭労災病院 呼吸器科部長 加藤 宗博
旭労災病院 健康診断部部長 横山 多佳子
豊川市民病院 呼吸器内科部長 太田 千晴
岡山労災病院 腫瘍内科部長 藤本 伸一
研究総括責任者 北海道中央労災病院 院長 宮本 顕二

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