独立行政法人労働者健康安全機構  北海道中央労災病院

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病気のはなし

腰部脊柱狭窄症

腰部脊柱管狭窄症について

「腰部脊柱管狭窄症とは腰椎内部の神経の通路である脊柱管が狭くなることにより、神経が圧迫されて症状が出現する病気です」云々はこの文章を読まれている皆さんなら既にご存じのことと思います(知らない方は「腰部脊柱管狭窄症」で検索して、ヒットしたページをご覧下さい)。ここでは一部の治療法に関する個人的な見解を述べたいと思います。
 多くの先生方が処方されているプロスタグランジン製剤ですが、ASO(閉塞性動脈硬化症)の治療薬として広く利用されています。そこで血流改善効果により神経の回復を促すとの事で腰部脊柱管狭窄症にも適応が通ったのですが、そもそも薬は血流の悪いところにはあまり行き渡らないので、血流改善効果はあまり期待できません。「でもASOに対する有効性は認められているじゃないか」と反論されかもしれませんが、太い血管には側副路と言うものがあって、そちらの血流が良くなって症状を改善するのです。ところが脊柱管狭窄によって圧迫される神経は直径数ミリ程度で、全周に渡って圧迫されるので代わりの血流など無いのです。
 「それでも多くの先生方が処方されているのだから何らかの効果はあるのではないか」と思われる方は脊柱管狭窄症の大部分は変性疾患(老化現象)により引き起こされるということを思い出して下さい。そう、ASO(もうひとつの間欠性跛行の原因疾患です)による症状が良くなっているだけなのかもしれないのです。その他にも股関節周囲の坐骨神経を取り囲んでいる筋肉の(姿勢などによる)過緊張も原因として考えられますが、これも血行改善により軽減します。
 ASOの場合、低用量(腰部脊柱管狭窄症には通常の半分)では効果も限られますし、何より疾患の進行を防ぐ事が出来ないので、血管外科医の治療を受けるべきです。また筋肉の過緊張は保温や関節のストレッチ、筋力訓練などにより改善するので高価な薬を服用し続ける必要はありません。
 このような理由から私は腰部脊柱管狭窄症にプロスタグランジン製剤を使いません。と言って他の薬もなかなか著効を示してはくれません。リリカに期待していたのですが、副作用の頻度が高いのが難点です。という訳で、牽引・神経ブロックなどを併用していますが、それでも改善が不十分な場合には手術という事になります。

整形外科 遠藤 康治

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